2012-07-17 [長年日記]

_ Book Kobo Touchファームウェア2.0.0 (もしかして:楽天Kobo?)

Kobo Touchのファームウェアがバージョンアップし、2.0.0になりました。 2.0.0は一度リリースされたあと、いくつか問題が見つかって一時的にリリースがとりやめになり、その後再リリースされました。 そのあたりの詳細は "Touch Kobo Touch Firmware 2.0 - MobileRead Forums" をどうぞ。

このバージョンから、言語に日本語が追加され、さらにEPUBの縦書きやルビに対応しました。実際に言語設定を日本語にしてみると、ヘルプのURLや、セットアップのURLがrakutenを含むURLになっていました(が、現時点ではアクセスできず)。ですから、楽天によるKoboの買収後も、引き続きファームウェアは世界共通で、楽天向けの改良を日本以外のKoboも享受できて、逆もしかり、と期待できそうです。 というか、これが明後日発売の楽天Koboに搭載されるファームウェアになるのかな?

日本語フォントは、モリサワのリュウミンとゴシックMB101の二つが入っていました。リュウミンはやや細くて、小さい文字サイズで読むのはちょっと辛そうです。ゴシックMB101は十分に太くて読みやすいのですが、個人的にはこのフォントで英語やフランス語を読む気にはなれないので、お気に入りの欧文書体と和文書体を組み合わせてカスタムフォントを作るのがよさそうです。 ただ、2.0.0にしてから、カスタムフォントを使うと何度かフリーズしてしまって、出荷時状態へのリセットをする必要もあったりしたので、ちょっと躊躇しています。

ちなみに、出荷時状態へのリセットは、まず「メニューからやる」方法があるけれど、フリーズなどでそれができない場合は、「ホームボタンを押しながら裏のリセットボタンをクリップなどで突いて、電源ボタン横のLEDが点滅したらクリップをはずして、その後リセットが始まったらホームボタンを離す」という手があって、さらにもうひとつ、「ホームボタンを押しながら、電源ボタンを短時間スライドして離してLEDが赤く光ればOK」という手があります。

リュウミンでのEPUBの表示例

リュウミンでのEPUBの表示例はこんな感じです(書籍は、達人出版会の「知る、読む、使う! オープンソースライセンス」)。開きカギカッコ"「"の後ろに中途半端なアキがあるのが気になります。あと、句読点"、"や"。"の後ろも同様にアキがありますね。このあたりは、将来のバージョンアップで改善を期待したいところです。

それから、dot-by-dotなPDFの仕様が、このバージョンから、「600x750ピクセルに収まるようにリサイズした画像の下に50ピクセルの余白を足して600x800に収まるようにする」という謎仕様から、「600x750ピクセルに収まるようにリサイズする」というまともな仕様になりました。 それにあわせて、以前の記事「Kobo Touch向けにdot-by-dotなPDFを作成する」も更新しておきました。

あと、個人的にはフランス語の辞書が追加されたのが嬉しいけれど(日本語の辞書も入ってるよ)、Kindleみたいに辞書も自分でデータを作ってインストールできるとさらに嬉しいな。

最後に、Kobo Touchのセットアップで必要なKobo Desktopなるソフトウェアは、GNU/Linux環境でWineを使ってインストール・使用が可能です。 インストールは普通にWineでインストーラを起動すればOKですが、使う際の注意点は、まずKobo Touchを接続してマウントしたあとで、winecfgを起動して、Drivesタブで、KOBOeReaderがマウントされている仮想ドライブを選択し、"Show Advanced"をクリックし、Typeのところを"Floppy disk"にしてApplyして、それからKobo Desktopを起動する必要があります。 (今のところ、Kobo Touchをマウントするたびにwinecfgする必要がありそう)。

winecfgのスクリーンショット

でも、せっかくKobo TouchにWiFiを搭載しているのだから、単品でセットアップできてほしいというか、せめてセットアップなしでもmini SDに入れた電子書籍くらい読ませてほしいと思います。 実際、ネットのない外出先で上述のようにフリーズしてしまって出荷時状態へリセットするはめになってしまうと、ネットに繋がったPCにつないでKobo Desktopでセットアップするまで一切使えないというのは、かなり残念な感じです。

何はともあれ、縦書きやルビ対応など、楽天がKoboを買収した効果があらわれたバージョンアップだと言えると思います。いろいろ粗削りなところはありますが、今後のさらなるバージョンアップに期待しつつ、みんな楽天Koboをゲットしよう!

[追記] これまでに謎仕様にあわせて作っていた600x800のPDFは、750/800の割合で縮小されて表示されているみたいで、つまり見えない領域があるわけではないけれど、dot-by-dotじゃなくなって、画質が低下します。 「謎仕様にあわせて変換した膨大なPDFをどうしてくれる!!」という私みたいな人は、以下のスクリプトで謎部分を切り落として600x750にすればいいでしょう。

#!/bin/sh
in="$1"
rm -rf tmp
mkdir -p tmp orig
pdfimages "$in" tmp/tmp
for i in tmp/tmp-*.p?m; do
  png=`echo $i|sed 's,p.m$,png,'`
  pdf=`echo $i|sed 's,p.m$,pdf,'`
  convert $EXTOPT -gravity south -chop 0x50 -type grayscale -depth 4 $i $png && rm -f $i
  sam2p -j:quiet $png $pdf && rm -f $png
done
mv "$in" orig/
pdfunite tmp/*.pdf tmp/output.pdf && rm -f tmp/tmp-*.pdf
pdftk "orig/$in" dump_data_utf8 | pdftk tmp/output.pdf update_info_utf8 - output "$in"
rm -f tmp/output.pdf

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