1999-03-03 [長年日記]

[19990303-1.jpg]
パリのメトロで見つけた、「ゆびづめ注意」のサイン。なんでうさぎやねん。しかも腰つきめちゃあやしい。それはそれとしても、ドアのあくスピードと勢いが、かなりすごいので、まじで注意した方がよさそう。

Basilique du Sacré-Cœur の壁の文字
[19990303-2.jpg]
G と R がすこし変わったかんじのものだったので、こっそりトレースしてきた。
[19990303-3.jpg]
このカーブがすごい独特。この紙のうらはきれいなエンボス*1
[19990303-4.jpg]
テールもやたら太いのが特徴。

LA CONSTRVCTION DE CET EDIFICE
DEMANDE PAR DIEV A LA FRANCE
A ETE DECIDEE PAR VN VOTE DE
L’ASSEMBLEE NATIONALE
LE 23 JVILLET 1873
A LA MAJORITE DE 244 VOIX

[19990303-5.jpg]
Café de Flore の机とイス。天板のグラフィックが、シンプルだけどかわいい。天板は、こい緑の地に白、金色のふち。足は黒い鋳鉄製 (遠目には、木だと思った)。イスは、木の骨組みに、とうであんだ、座面と背もたれ。背もたれの「ふち」部分がこい緑色で、他は、えんじ色にこい緑がまざっている。

_1 日記

8 時すぎに起きて、rue Mouffetard でやっている朝市に行く。パンとか野菜とかムール貝とか絵ハガキとか、いろいろ買う。

パン屋は 2 軒で買いものしたが、やはり混雑していた店のパンの方が、断然おいしい。こちらのパン屋では、カウンターの人に、欲しいパンの名を言って、取ってきてもらうようになっている。だから、パンはショーケースの中に入っていて、日本のように、自分で持っていくことができない。ということは、「読めないパンは買えない」ことになる。さらに、「言えない数では買えない」ということにもなってしまう。というわけで、「読めるパン」をいくつか買った。「一個だったら、名詞の性で “un” か “une” か分からへん」というチキンハートで、うまくないパンを 2 個ずつ買ってしまったとさ。

午後からは、Montmartre 方面に行った。このあたりは、ユトリロが住んでいたそうだが、街並が、ほんとうにユトリロしていた (ただしユトリロの絵にはない路上駐車がみっちり)。

坂道を上がって、Basilique du Sacré-Cœur に出た。さすがに美しい。観光地の底力を見せつけられた感がある。すげー。

しかも、「うさんくさい連中」がごろごろいるのがさすがだ。いっちょまえに片言の日本語を話す。その気合いをより有意義にむけていただければ…と思わなくもない。

さて、肝腎のサクレ・クール寺院の中は、トレースしたくなる彫文字があちこちにあったが、目立ちそうなので、ぐっとがまん。しかし、風変わりな文字を前に、がまんがふっとんでしまったのでありました。

その後、モンマルトル墓地に行った。今回の渡仏の大目的が、「ペール・ラシェーズ墓地の彫文字調査」なので、その予行演習だと意気込む。とりあえず、スタンダールの墓のごく一部をトレースしたが、予想以上に「かなり目立つあやしい」行為のようだ。何よりもあやしい理由は、「何をしているか」は分かっても、「何のためにしているか」が、およそ理解不可能なことだろう。

というわけで、またもやチキン・ハートになり、あとは写真ですませた。かなしい。

*1 壁の彫り文字を紙に鉛筆でトレースしたから。

[]