朝 0630 に家を出て、うっすら白い山陰道をそろそろと走りながら無事空港に着きました。飛行機が飛ぶ頃もずっと雪が降り続いていましたが、ちゃんと飛んで良かった良かった。
以下、今日聞いたセッションの内容や感想をお届けします。
IBM の榊原彰さんによるセッション。同じ時間帯の同じく IBM の人による「成功への動機づけに欠かせないプロジェクトマネジメント」とどちらに参加するか迷いましたが、より若い人の話を聞こうと思ってこちらにしました。その選択が正しかったかどうかは知らないけれど。
タイトルから想像されるような深い突っ込んだお話というよりは、「IT アーキテクトってこんな仕事」という感じでしたが、最後のまとめでの、「技術は陳腐化するけれどアーキテクチャをより洗練させていくことで資産を連続させることが大切」というお話が印象に残りました。
XPJUG の紹介と、3 人による XP 事例の紹介。どのプレゼンもスピーディーでかつ面白いものでした。
初めは dRuby の咳さんによる「3.5年目の報告」で、「XP の醍醐味は計画ゲーム」「RWiki のストーリーカード拡張を使っている」「バージョン違いの並行開発が最近のチャレンジ」などのお話でした。最近は遅いチームと一緒にやることがあって、「テストは XP の生命線なのに... (品質が伴わない XP は単に速度が遅いだけ)」「遠慮や不信」「問題伝達の遅延」などの問題があり、もっと早い段階でダメなところはダメと指摘する必要があったと話していました。
二人目は「小規模ゲームデベロッパのアジャイル適応例」と題したプレゼンで、「毎日始めと終わりに 15 分程度のスタンドアップミーティングをし (でも立っているのは自分だけ...)、各プロジェクトの前後一日の報告をする」「ペアプロを強く推奨 (共通体験をし、学習効果もある)」「残りタスクの一気消化の際などはペアプロ解除」「リトロスペクティブ・プラクティス重要 (カタルシスを与える。プロジェクト終了時にやっているけれどマイルストーン毎にやってもいいかも)」などのお話でした。アジャイル導入への反発については、「時間がかかる人もいるがそういう人はそっとしておく。楽しくやっているとそのうち興味を持ってくれるかも」と話していました。とにかく重要なのは情報共有とフィードバックだというのがまとめ。
最後は「顧客を演じて」という題で、「QCD が OK ならプロジェクトは成功なのか?」「バーンダウンチャートは初めの二日くらいの変動が激しいけれど、これはチームが迷っている時期なのでこのタイミングでオンサイト顧客訪問が効果的」というお話でした。オンサイト顧客で感じたことは、「要求は伝わらないもの(伝える技術の問題も引き出す技術も問題もある)」「真の要求は誰にもわからない (会話を通じた気づきによる要求)」「寄り道している余裕はない (資金、期間は限られているのでその中でベストパフォーマンスを出さないとダメ。オンサイト顧客による早めの軌道修正が大事)」と話し、今後のチャレンジとして「スポンサーへの説明責任 (EVM、品質保証)」「XP チームとの良い関係の構築 (燃え尽きやテンションギャップの対策)」を挙げていました。
いずれの方の発表でも、コミュニケーションが十分でないと XP は成立しないというのを強く感じました。
まつもとさんといっしょに歩いていたら、森田尚さんという方とお話しする機会があったのですが、実はこの方は、最近 Hiki で採用した raa:DocDiff という単語毎の差分を出力する Ruby プログラムの作者の方です。
ちなみに森田さんはご自身の blog の中で、「ライブラリとして使うということは思いつかなかった」と書いていましたが、私が DocDiff に興味を持ってまずコードを見たときに、アプリケーションとそれ以外が分離されていたので、ほぼそのまま使おうと考えたのでした。
いずれにしても私としてはこの予期せぬ幸運な出会いが嬉しく、それだけでもはるばる来た甲斐があったと思いました。
アイシンク (株) の伊藤健太郎さんによるセッション。プロジェクトマネジメントについて分かりやすく概説するという感じでした。
「トップの関与が大切 (会社にとっての意味を語る)」「プロジェクトマネジメントでの問題のほとんどはコミュニケーションに通じる問題」「コミュニケーションは仕事だと思ってちゃんとやる」「プロジェクトはテンポラリーなチームによるテンポラリーな活動なので、うまく動かすには上司的な権限ではないマネージャ自身のパワーが必要」「ノウハウや教訓は会社の大切な知的財産なので、残して共有するのが大切」というお話が印象に残りました。
途中で 3 分ほど、隣の人とプロジェクトの失敗について語ってくださいという時間があり、(株) 東芝の方と (株) ソフトウェアサービスの方 (ちなみにどちらも女性) とお話しする機会がありました。うちの会社は知らないけれど Ruby は聞いたことがある、だそうです。やっぱりアウェイ...
(株) エイチ・オー・エス 服部達郎さんによる発表。興味があるからというよりは、うちの仕事にも関係ある分野なので、偵察のつもりで聞きにいってきました。
「Web サービスでの帳票印刷は、HTML の限界があるので、PDF/ラスタグラフィックス/ベクタグラフィックス/FlashPaper/独自形式での対応が必要」「PDF は入力もできるなど豊富な機能があるのだが、Acrobat Reader の起動が遅いのでいまいち」「デザインとロジックの分離した設計が大事」「マイグレーション (既存システムからの移行) は、できるだけそのままコースと、作り直しコースがある」「バーコードはけっこう印刷精度が要求されるので、プリンタ毎の補正が必要」などなどのお話でした。
個人的には、HTML でもフォントの問題はともかく CSS を駆使しまくるとけっこう出力を頑張れるような気がするけれど、単純な縦横の罫以外は画像で表示することになるのがネックなのかなとか、Acrobat Reader の重さと PDF のフォーマットとしての評価は別物じゃないのかとか、独自形式は勘弁してくれとか感じました。
こちらについては、まつもとさんの日記をどうぞ (余談だけどリファラの表示をなくすとやっぱり速いなぁ...)。
いろんなセッションで、コミュニケーション大事という話を聞いた気がします。特に XP にコミュニケーションが不可欠ということは、XP があらゆるプロジェクト向きというわけではないというよりは、XP があらゆる人に向いているわけではないということなのだろうかと考えさせられました (コミュニケーションが好きな人も苦手な人もいるから)。そんな中「失敗から学ぶプロジェクトマネジメント」のセッションの中で、「コミュニケーションは仕事だと思ってちゃんとやること」というお話はとても印象的でした。
以上、会社の ML に出した報告からやばそうなところを削ってお届けいたしました。:)
はるばる東京まで来たからにはもちろんお食事会です。
参加者は、(私の席から時計まわりに) tellme さん、えとーさん、風穴さん、くろももさん、まつもとさん、Shelacy さん、naruse さんです。当初参加予定だったはんばあぐさんが、やっぱり明日の発表が心配だからということで欠席になってしまい、きたさんも忙しくて来られなかったみたいで残念でした。あと、私の PHS がひたすら圏外で連絡がつかなかったささださん、ごめんなさい。
ちなみに上記の tellme さんは、かつて横浜の Rubyistと紹介した人です。前向きに勉強熱心な人なので、私が東京方面に来るたびにお会いしているような気がします。
最近は島根県が Ruby を生かした産業振興に取りくんでいて、「Rubyなら島根県といわれるようにしたい」という野望があるようです。もちろんそれはとても素敵なことで大歓迎なのですが、だからといって「Ruby って島根県でしか使われてないよねー」とか「Ruby って島根県の特産品っていうかー」とか「あー、しじみか Ruby だよねー>島根」とか言われるのは絶対に嫌です (言われないと思うけど)。
そんなわけで、まつもとさんの「まつもとは島根県を応援します」のように、かずひこは社外の Rubyist を応援します。あ、もちろん社内の Rubyist も激しく応援しています。念のため。
さらに余談。tellme と言えば、中島みゆきさんの「Tell Me, Sister」という曲が好き。「短篇集」に入っているので聞いたことがある人も多いかも。
ごめーん > リファラ
週末には触りたいなーと思ってます。が、どうなるかな…
商工会の全国物産展に行くと島根県のブースに ruby がある
光景を想像してしまいました