短くまとめると、子供が3日前にスクーターにひき逃げされて緊急入院したけれど、今日無事に退院しました、というお話です。
3日前の土曜に、いつものように家族3人で街に出て、夏のバーゲンの最後に子供の新しい靴を買ったり、セレブ(?)なお茶屋さんの店先で念願のアイスクリームを食べたり、先週に頼んでおいた子供の名前の入ったリュックサックができたのを取りにいったり、近くのスーパーで晩御飯の買い物をしたりして、もうすぐ家に着くという帰路のできことです。
かずひこ、子供、ゆうなの順で横断歩道を渡っていて、私が渡り終えたくらいの時に後ろで何か音が聞こえた気がしてふりかえると、子供が倒れていました。 またつまずいて転けたのかなと最初思いましたが、それにしては前向きではなくて横向きに倒れているのが変で、ゆうなの方を見ると、すごく動揺しているように見えました。 急いで駆け寄ると、子供が轢かれた!と悲痛な声で叫んでいました。
ぱっと見では外傷はなさそうだったのと、横断歩道の真ん中でさらに事故が起きるのが怖かったのと、リールでは珍しく暑い日だったのでその場に倒れ続けるのが危なそうだったのとで、多少ためらいはあったものの、交差点角の日陰まで急いで移動させました。 ゆうなによると、信号無視して直行する方向からすごいスピードでやってきたスクーターが子供の頭部に接触して、その結果子供は2mほどとばされて道路に落ちて、スクーターはそのまま減速することもなく走り去った、とのことでした。
幸い、現場を目撃した方がすぐに(SAMUと)救急車と警察を呼んでくれて、ほとんど英語の通じなかった警察の人に対しては、彼が大部分の状況説明をしてくださいました。 また、もう一つ幸いなことに、事故直後にお医者さんが通りがかって、子供の姿勢をこう保持しておくようにというアドバイスをくれたり、その時の子供の容態について確認しながら、救急車到着後は救急の方に詳しくそれまでの様子を説明してくださいました。 その頃の子供の状態は、事故直後は目は開いているもののまったく焦点があっていなくて、どう呼びかけても反応しませんでした。 その後、2分くらい?経つと突然泣き出して、その時は少しだけほっとしたのですが、でも救急車に載せられたあともう一度覗いてみると、全然泣いたりも動いたりもしていなくて、まだまだ不安いっぱいでした。
救急車の行き先は、CHRと呼ばれるリール最大の病院群の救急センターに決まりました。 消防の方から、一人は同乗できるけれどもう一人はメトロで行ってくれと言われましたが、行ったことがない場所だし、大きな病院だということは知っていたので救急の場所がすぐにわかる自信が全然なかったので、何とか無理にお願いしてゆうなも私も載せてもらえました。
病院に着くと、子供はすぐにCTスキャン、血液検査、レントゲンなどの一連の検査を受け、私たちはその結果がでるまで無事を祈りながら廊下で待っていました。 しばらくすると、けっこう英語ができるお医者さんが、体全体のスキャンでは異常はないけれど、脳にごく小さな血が見られて、おそらくは問題ないがしばらく経過観察するために入院することになる、と説明してくださいました。
その後さらにしばらくして、救急処置室で子供と面会できて、しばらく待つと子供の目が開きました。 焦点はあっているように見えましたが、あまり私たちを目で追うようでもなく、呼びかけても返事がなく、そうこうしているうちにまた目を閉じて寝てしまいました。 そんなのが何度か繰り返されて、事故から4時間くらいたった頃に、急に子供がMaman!と呼ぶのが聞こえました。 もう、この時はゆうなも私もものすごく喜びました。 さらに私が自分を指差して、「C'est qui?(これ誰?)」と尋ねると「かきこ〜(かずひこのことらしい)」と答え、子供を指差せば自分の名前を答え、ゆうなを指差すと「Maman」と答え、ようやく意識が戻ったのが確認できました。
入院先は、神経外科(neurochirurgie)の小児病棟になりました。 意識が一度戻ったとは言え、その後どうなるか予断を許さない状況なので、1時間毎に子供を起こして意識を確認するように求められました。 2歳半と幼く、しかも日本語ネイティブの子供なので、当直の看護師だけで意識を確認できるかどうかわからないからだろうと思います。 そんなわけで、規則では付き添いの宿泊は一人しか認められないのですが、この日は例外的に二人とも付き添うことができました。
意識確認と言っても、実際は例えば
か「起きて!起きて!」
子「おきにゃい!」
か「OK!おやすみ!」
とかこんな感じですが、それでも1時間毎に起きるのはかなり私たちにとっても辛く、翌朝またお医者さんが見回りに来た頃には二人とも疲れきっていました。
入院2日目は、朝から水を飲むとすぐに吐くという繰り返しでした。 また、お医者さんの指示で一度ベッドの上に子供を座らせた時に、首がまるですわっていないかのようにがくがく揺れました。 その後、骨に異常はないけれど首がやや横を向いていると説明され、首をかるく固定する器具がつけられました。 この日は、私たちもまだ全然安心できませんでしたが、Yoshinoriくんがうちからいろんなものを持って助けに来てくれて、ずっと私たちの話し相手にもなってくれて、本当に助かりました。
さて、運が悪いことに、子供は9月からの幼稚園入園にあわせてトイレトレーニング中でした。 入院中はおむつをつけさせていたのですが、トイレに行くタイミングをやっと言えるようになったばかりの子供は、入院中も「pipi(おしっこ)行く!」と叫び、起きている間は意地でもおむつでしようとせず、限界まで我慢しようとしていました。 そこで、病院でおまるを借りたのですが、首に負担をかけないようにするだけでなく、点滴のチューブや胸につけられている電極からのびる電線をよけながら、トイレをさせるのは大変でした。 小児病棟だったこともありたまたますぐにおまるを借りられたのでよかったのですが、もし近くになかったら相当大変なことだったと思います。
2日目の晩は、ゆうながかなり疲れていたこともあり、私が一人で付き添うことにしました。 寝付くまでは、私にはぜんぜん目をあわせずにひたすら「Maman! Maman!」と探しまくってすごく苦労したのですが、その後は夜中に「pipi行く!」といきなり起きたときに相手するだけでなんとか済みました。 入院前は、夜中のトイレは言えずにおもらしするのが当たり前だったので、むしろいきなりのレベルアップに驚いたくらいです。
さて、3日目、今日こそは退院できるかもと期待していたのですが、結局はもう一日経過観察ということで退院できませんでした。 子供はどうも病院嫌いというか医者(白衣?)嫌いなところがあって、お医者さんがやってきたときに、例えば話しかけられても仏頂面とか、ライトを目の前で振られても目で追おうとしないとか、そういうなめた態度をとってしまい、そのせいでさらなる経過観察が必要になったんじゃないかという気もしないでもありません。
3日目の晩は、付き添い者用の別の寝室をゲットしたので、疲れ気味のゆうなが家に戻るよりもそこで寝て、子供が泣いたときに起こしてもらうのがいいだろうということにしました。 本当は、私が子供の横で椅子で寝て子供の面倒を見て、ゆうなは夜は寝室でぐっすり寝る、というのを考えていたのですが、今回は規則でそれはダメと言われたので断念しました。 でもまあ、お陰で私は3日連続の椅子寝を免れて、少し疲労回復することができました。
そして、今日、入院4日目です。 お医者さんもなかなかやり手で、私たちと会話するときはあまり子供の視界に入らないように会話して、子供を見るときだけさっと子供の前に出てきてすぐにまた避けるという、ヒット・アンド・アウェイ戦法で手際よく子供の診察をしていました。 その結果、今日の午後にもう一度検査をして、それで問題がなければ今夜に退院と言われました。
その「午後の検査」のために、今日は早朝から子供を起こして、お昼に眠くさせようという作戦でした。 しかも、午前中に点滴をつけている足の指がかゆいと言い出したために、ついに点滴もはずされて、ベッドから出てぼちぼち歩きはじめて、さらに体力を使ってくれている、という絶好の流れでした。 にもかかわらず、お昼になっても全然寝なくて、結局はぐるぐる巻きにされてしばらく泣きまくったあとにようやく寝て、検査突入となったそうです。
私は、今日の午後はフランス語の試験のためにしばらく外出していたのですが、病院に戻ると、今朝はいまいち足取りがおぼつかない感じだったのに比べて、もうかなり普通に歩くようになっていました。 そうこうしているうちにお医者さんが来て、問題ないからこれで退院と言われました。 また何かあったらすぐに来たらいいけれど、たぶんその心配はないと思うとも言われました。
そんなわけで、さきほど3日ぶりに無事に3人揃って帰宅しました。 今では、まるで事故がなかったかのように、子供はうちで元気に暴れています。 信号無視のスクーターによるひき逃げという、何が起きても全くおかしくない事故にあったのは本当に悲惨なことでしたが、それ以外はありえないくらいたくさんの好意と幸運に恵まれて、本当に心から感謝しています。
みなさん、たくさんのお見舞いのコメントありがとうございます。 ゆうなも私もとても喜び、勇気づけられています。
子供は、数日動かなかった影響なのか、それとも体が痛いのか、まだ多少足元がふらつくことはありますが、そのうち元気に完全復活するんじゃないかと思います。 ゆうなは、私と違って事故を直接目撃してしまったので、まだ時々その時の様子を思い出してしまうようですが、これからもっとたくさんの楽しい思い出を重ねることで、ゆっくり忘れていってくれることを祈っています。
外国でのトラブルという点では、警察の方に対して自分たちから詳細に伝えられないのは多少困ったのですが、病院ではさほど苦労せずに済みました。 こちらが旅行者ではなくて住人なので、保険の心配がいらなかったとか、家から病院がメトロ一本で行ける場所だったとか、そういう要因もありますが、何よりも病院の方々の対応が素晴らしかったお陰です。
ゆうなも私もフランス語はちょっとしかできませんが、そのちょっとを駆使しまくって入院期間を乗りきることができたのは、少しだけ自信になりました。 もっとも、私は相手が英語を話せそうならすぐに英語に逃げていたのですが、ゆうなはその手が使えない分、電子辞書を片手に限界までフランス語で頑張っていました。
そういえば、退院の時にすでに窓口が閉まっていたため、結局何の手続きもせずに帰ってきちゃったけど、よかったのかな? 一応、案内のブースにいた人に聞いたら、今日は何もしなくていいよ、と言われたように思うのですが、お礼を兼ねつつ「何したらいいの?」というお手紙を保険証のコピーを同封して病院に送っておきました。
お子さん、無事で良かったですね! <br>
まずはお子さんが無事退院できてよかったです. <br>かずひこさん,ゆうなさんもゆっくり休んでください.
本当に無事で良かったですね。
自分にも子供がいると、他人事な気がしません。後遺症などなさそうで、ホントに良かったと思います。
ほんとに怖いですね。ひとごとじゃない。 <br>無事に退院できたということで何よりです。
読みながら泣きそうになりましたよ。うちも気をつけます。 <br>ご無事でなにより。 <br>
お子様がご無事で本当によかったですね。 <br>体も精神もお疲れでしょうから、ゆっくりお休みになってください。 <br>でも、本当にびっくりしました。
お疲れ様でした。お子さん、本当に無事で良かったです。
とにかく、お子さんがご無事なようでよかったですね。 <br>うちも気をつけます。しかし轢き逃げとは酷いですね...
お子様が無事で何よりです。 <br>こういうのは親も生きた心地がしないですね。
うああ、怖い。でも、お子さんご無事でよかったです。まずはみなさんゆっくりお休みください。
外国での子供の怪我病気は本当に不安ですよね。でも無事退院できて本当によかった!
大変でしたね..。ご無事でなによりでした。
ゆうなさん、かずひこさん本当にお疲れ様でした。 <br>お子様、無事退院できよかったです。 <br> <br>心に受けた衝撃など、少しでも早く癒えるように祈っています。
お子様がご無事でなによりでした。 <br>本当にお疲れ様。
目の焦点が合ってなかったり、首がガクガク揺れたりなんて、怖すぎます。 <br>ドキドキしながら 読ませていただきました。 <br>後はゆっくり休んで、一日も早く、体力を回復されますように。
びっくりしました。とにかく無事でよかったです。
ほんとうに驚きました。無事でよかったです。 <br>はやく元気になるように祈っています。
無事退院できたとのこと、ほっとしました。 <br> <br>外国語があまり出来なくても、日常の生活は大抵何とかなるんだけれど、トラブルに遭った時が問題ですね。困った時に周りに助けて下さる人がいて、本当に良かったですね。
わたしも息子が大腿骨骨折をし、2週間入院から今日退院したばかりです。幸い、頭は打っていなかった様子なのですが(わたしはその場にいなかったのです)、しばらくギプス生活です。看病疲れ、大変でしょうが、がんばってのりきりましょう。
びっくりしました.無事でなにより. <br>