2009-05-09 [長年日記]

_ [Family] 「母親になるのにベストな国ランキング」を詳しく見てみた

母の日に関する セーブ・ザ・チルドレン レポート 母親になるのにベストな国ランキング」というレポートがあって、日本は2006年の12位を最高にその後毎年順位を下げ中で、今年のレポートでは158カ国中34位、というニュースを見ました。

上記のサイトや日本のニュースサイトでは、10位までしか載っていなかったので、果たしてフランスはどうなんだろう? という興味も含めて、本家サイトからフル・レポートをダウンロードしてちゃんと眺めてみました。

まず気づいたのは、「日本は158カ国中34位」といっても、このレポートは先進国、開発途上国、後発開発途上国の三つにグループに分かれていて、日本は先進国グループ43カ国中の34位でした。 これは最初にニュースを見たときと随分と印象が違って、つまり相当いけてない先進国という順位です。 ちなみに、現在私たちが生活しているフランスは、同じく先進国グループ43カ国の中で11位でした。

では、このレポートがどんな数値を比べていて、それが34位の日本と、11位のフランスと、1位のスウェーデンで、どう異なるのかを、見比べてみました。

日本フランススウェーデン
女性指標産婦死亡のリスク(何人中一人)1/11,600人1/6,900人1/17,400人
現代的な避妊手法の使用率44%77%65%
女性の平均余命86年84年83年
女性の正規教育期間15年17年17年
産休・育休制度(期間)98日112日480日
産休・育休制度(給料に対する割合)60%100%80%
男女間の給与所得の比率46%62%84%
国政レベルの女性議員の割合9%18%47%
ランキング36位13位2位
子供指標5歳未満の子どもの死亡率(千人あたり)4/1000人4/1000人3/1000人
就学前教育就学率(合計)86%116%95%
中等教育就学率(合計)101%114%103%
ランキング8位4位1位
母親指標(総合)ランキング34位11位1位

(就学率の数値が100%を超えているのが何故か、分かっていません。原文では"Gross enrollment ratio (% of total)"と書いてあるのですが、どういう意味でしょうか?)

ご覧のように、この3カ国の中で日本が最も優れているのは「女性の平均余命」だけで、逆に特に劣っているのは「現代的な避妊手法の使用率」「産休・育休制度」「男女間の給与所得の比率」「女性の国政レベルでの参加率」などで、こうやって比較してみると確かにこれはひどい。

また、実際に子供を産んだり、または産まなかったりを選択する立場からすると、これらの数値以外にもたとえば、妊婦の検診にかかる費用とか、産院の数とか、保育所の数とか、もっと現実的に重要な要素があって、しかもそれらも日本で大きな問題になっていることを考えると、「158カ国中34位」という記述から受ける印象よりも、もっともっと悲惨な状況だと感じました。

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