「母の日に関する セーブ・ザ・チルドレン レポート 母親になるのにベストな国ランキング」というレポートがあって、日本は2006年の12位を最高にその後毎年順位を下げ中で、今年のレポートでは158カ国中34位、というニュースを見ました。
上記のサイトや日本のニュースサイトでは、10位までしか載っていなかったので、果たしてフランスはどうなんだろう? という興味も含めて、本家サイトからフル・レポートをダウンロードしてちゃんと眺めてみました。
まず気づいたのは、「日本は158カ国中34位」といっても、このレポートは先進国、開発途上国、後発開発途上国の三つにグループに分かれていて、日本は先進国グループ43カ国中の34位でした。 これは最初にニュースを見たときと随分と印象が違って、つまり相当いけてない先進国という順位です。 ちなみに、現在私たちが生活しているフランスは、同じく先進国グループ43カ国の中で11位でした。
では、このレポートがどんな数値を比べていて、それが34位の日本と、11位のフランスと、1位のスウェーデンで、どう異なるのかを、見比べてみました。
日本 | フランス | スウェーデン | ||
女性指標 | 産婦死亡のリスク(何人中一人) | 1/11,600人 | 1/6,900人 | 1/17,400人 |
現代的な避妊手法の使用率 | 44% | 77% | 65% | |
女性の平均余命 | 86年 | 84年 | 83年 | |
女性の正規教育期間 | 15年 | 17年 | 17年 | |
産休・育休制度(期間) | 98日 | 112日 | 480日 | |
産休・育休制度(給料に対する割合) | 60% | 100% | 80% | |
男女間の給与所得の比率 | 46% | 62% | 84% | |
国政レベルの女性議員の割合 | 9% | 18% | 47% | |
ランキング | 36位 | 13位 | 2位 | |
子供指標 | 5歳未満の子どもの死亡率(千人あたり) | 4/1000人 | 4/1000人 | 3/1000人 |
就学前教育就学率(合計) | 86% | 116% | 95% | |
中等教育就学率(合計) | 101% | 114% | 103% | |
ランキング | 8位 | 4位 | 1位 | |
母親指標(総合) | ランキング | 34位 | 11位 | 1位 |
(就学率の数値が100%を超えているのが何故か、分かっていません。原文では"Gross enrollment ratio (% of total)"と書いてあるのですが、どういう意味でしょうか?)
ご覧のように、この3カ国の中で日本が最も優れているのは「女性の平均余命」だけで、逆に特に劣っているのは「現代的な避妊手法の使用率」「産休・育休制度」「男女間の給与所得の比率」「女性の国政レベルでの参加率」などで、こうやって比較してみると確かにこれはひどい。
また、実際に子供を産んだり、または産まなかったりを選択する立場からすると、これらの数値以外にもたとえば、妊婦の検診にかかる費用とか、産院の数とか、保育所の数とか、もっと現実的に重要な要素があって、しかもそれらも日本で大きな問題になっていることを考えると、「158カ国中34位」という記述から受ける印象よりも、もっともっと悲惨な状況だと感じました。