短くいえば、ある程度Rubyをわかっていて、でもそのもっと先を目指したいという人が読む本、です。
もちろん、やる気と時間が十分にあれば、さまざまなオープンソースのコードや、全国津々浦々で行われている勉強会などを通じて、さまざまな疑問を少しずつクリアしながらレベルアップしていくことは可能でしょう。 でも、これからあなたを待っている広い世界の全体像を一気に俯瞰できるという意味で、この本はきっと役に立つんじゃないかと思います。
例えば、「8章 上手なプロジェクトメンテナンス」では、ソフトウェアのコードそのものだけでなく、今時のRubyプロジェクトはどういう風にうまくできていて、それが新しい利用者やメンテナにどのようなメリットをもたらしているかを学ぶことができます。
また、「付録A 後方互換性のあるコードを書く」は、「後方」とあるように、最新のRubyすなわちRuby 1.9で動くコードを書く前提で、それを「綺麗なコードであること」を保ったまま、Ruby 1.8でも動くようにするにはどうするか、というノウハウが紹介されています。 tDiaryなどでも似たようなことをやっていますが、今後「Ruby 1.9世代」のRubyistが増えていく中で、こういった知識はこれからしばらくはとても重要だと思います。
ちなみに、RubyKaigi 2009の際に、オライリーの高さんから「Rubyの綺麗なコードの書き方みたいな本を編集するのですが、誰かレビュアーを紹介してください」と言われて、その場で「綺麗なコードみたいな名前の会社の人がいますよ!」とか言いながら須藤さんを紹介したのですが、それがこの本だったのですね。 その時には、まさか私にもレビュアーの依頼がくるとは思っていませんでしたが、でもおかげでこの素晴らしい本を出版後すぐに手にすることができました。