2011-12-08 [長年日記]

_ Book 電子書籍の管理はCalibreを使うことにしました。

たださん曰く

実際、おれたちみたいに自分で電子書籍を「作れる」人たちにしてみると、KindleのPersonal Documentsはキラーアプリだと思うよ。特定の書店で買った本しか置けない本棚なんて馬鹿らしくて使ってられないわ。

まったく、おっしゃるとおりでございます。 なので、Koboで買った本しか扱えないKoboのクラウド(笑)は、少なくとも今のところはお話になりません。

さて私の管理方法はというと、これまでは手元にダウンロードしたEPUBとか加工したPDFとかを、ちまちまUSB接続でKobo Touchに転送していたのですが、数が増えてくるに従って面倒になってきましたし、「どこで買った本でも置ける本棚」というのがどれくらい可能なのか、電子書籍界のiTunesの異名を持つ(要出典) Calibreを試してみました。

Linux版のダウンロードページに、「ディストリビューションのパッケージは大抵バグってるか古すぎるから、以下の方法でバイナリインストールしなさい」とあったので、おとなしく従いました。 実際、最新版がバージョン0.8.29なのに対し、Ubuntu 11.10のパッケージは0.8.8でした。

最近のバージョンでは、Kobo Touchにも対応していて、Kobo TouchをUSB接続した状況でCalibreを起動すると、Touch内部の書籍や、Touchに挿しているmicro SD内の書籍もちゃんと表示され、どの書籍はTouchやmicro SDに転送されているかとかも一目瞭然です。

電子書籍の各種フォーマット変換も楽にできます。 ちょうど、子供と読もうと思っていたCharles Perraultの童話集にEPUB版がなかったので、Mobipocket版をダウンロードして、CalibreでEPUBに変換して、無事にKobo Touchで読むことができました。

あとは、Newsという機能があって、すでに登録されているたくさんのレシピを使って、いろんな国のニュースサイトから最新記事をまとめてスクレイピングして転送もできます。 とりあえずLe Mondeとか、毎日新聞とか、いくつか試してみましたが、よほど長時間ネットから離れる旅行をするとかでない限りは、普通にPCで読めばいいかな。

さて、Kobo TouchをFnacアカウントでセットアップしたときに、二冊電子書籍がプレゼントされて、また、Koboの電子書籍サイトで無料の電子書籍を取得していたりしました。 それらもCalibre上で認識されて、PCにも転送はできたのですが、中身を読むことはできませんでした。 前者は書籍の詳細ページにも"Adobe DRM EPUB"と書いてあるので、無理なのは予想どおりです。 後者はすでに著作権の切れた作品で、書籍の詳細ページには"FREE eBOOK, ADD TO LIBRARY"とは書いてあるけれど、ダウンロードをすることはできず、DRMを使っているとも書いていない代物で、これも無理ですか。

というわけで、DRM付きの本は買わない私にとっては、Calibreで「どこで買った本でも置ける本棚」はだいたい実現できていて、そこに置けないのは本来セットで使うべき存在であるKoboの電子書籍サイトで入手した電子書籍、という何とも皮肉な結果でありました。

ちなみに、頻繁なUSBの抜き差しはKobo Touchの端子に負担をかけそうで微妙に心配なのですが、Kobo Touchの場合、USBを経由しなくても、「micro SDを抜いてそれだけPCにマウント」という方法と、「内蔵のブラウザでCalibre serverに接続してそこからダウンロード」という方法の二つがあります。 前者は当然micro SD保存のみで、後者は逆にデバイス本体に保存のみです。

つまり何がいいたいかというと、Kindleは自炊派に(も)便利そうですね(涙)、ということなのですが、Kobo Touchの起動スクリプトをいじってbusyboxを使ってtelnetとかftpとかを起動させたりフレームバッファをダンプすることでスクリーンショットを取ったりしてキャッキャウフフしているサイトは面白かった。

_ [Music] Kobo Touchで楽譜

D. Scarlatti Sonata K.380

電子書籍端末を買ったらやってみたかったことの一つが、楽譜の表示です。 サンプルは、パブリックドメインの楽譜サイトIMSLPからダウンロードした、最近弾いているD. スカルラッティのソナタK.380の楽譜です。 このファイルは元がスキャンではなくてFinaleというソフトウェアからの直接のPDF出力なので、リサイズしてdot-by-dotに最適化しても、十分に綺麗に見えます(画像がぼやけているのは、スキャナでスキャンしているのでピンぼけしているから)。

譜読み段階ではちょっと辛いし、何よりも指番号とかをすぐに書き込めないのは致命的だけど、だいたい覚えている曲の備忘用になら、持ち運びも軽くて、譜めくりのミスのリスクも少なくなっていいかもしれません。

でも、もっと大きい端末になって、そこにすらすら手書きでメモを追記できて、そのメモはいくつかのセットで別々に管理できて、譜めくりはフットペダルのスイッチとかでできたら、例えばオーケストラで「新しい指揮者とやるからメモをリセット」とか、「あの指揮者と前にやったときのメモを復元」とかを、楽譜が汚れずにかさばらずにできるのはすごく助かるんじゃないかなぁ。


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