達人出版会から先日刊行された「ケヴィン・ケリー著作選集 1」を読みました。 原文のブログが、Creative Commonsライセンスの「CC BY-NC-SA」、つまり非営利なので、翻訳も堺屋七左衛門さんのサイトで無料で公開されていて、そこからの25篇がこのたび達人出版会から電子書籍としてこちらも無料で刊行されました、というわけです。
つまり、この電子書籍のコンテンツは、すでに誰でも自由に読むことができるコンテンツだったわけですが、「選集」という編集が行われ、またEPUB、PDF、ついでにmobiと多彩なフォーマットの電子書籍(もちろんDRMなんかかかっていないので、他の形式にも変換できる)としてリリースされることで、新しい読者が出会う機会ができたり、すでに読んだことのある読者にとってもさらに便利に再読する機会ができたりするのは素敵なことですし、それはまさに多くのコンテンツが大量に存在する現代におけるプロの出版社の仕事と言えるでしょう。
本書の主なテーマは、「何でも無料で大量に流通する時代に、どうやって生計をたてるのか?」ですが、これを読みながら、大学時代に読んだヴァルター・ベンヤミンの評論「複製技術時代の芸術」を思い出しました。 で、また読み返してみたいなぁと思ったのですが、残念ながら、こちらの書籍には遠く離れたフランスでもさくっと手に入る非DRMの電子書籍なんかないのでした。
私がかつて読んだのは、ちくま学芸文庫の方だったはずだけれど、晶文社からも別の訳が出てるのね。どっちがいいのかしら。
ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味 (ちくま学芸文庫)
筑摩書房
¥ 1,575
複製技術時代の芸術 (晶文社クラシックス)
晶文社
¥ 1,995