2012-02-28 [長年日記]

_ [Music] プーランクの連弾ソナタを、作曲された頃に製造されたピアノで弾く

1920年代製のガヴォーのピアノ

ピアニストのMさんとの今日の合わせ練習は、本番の場所で本番のピアノで弾いてみましょうというわけで、会社の近くの修道院の食堂で、そこにある古いガヴォーのピアノで練習しました。

シリアル番号から調べたところ、このフランスのガヴォー社製の小さなピアノは、1920年代のおそらく前半の製造で、今回弾くプーランクの連弾ソナタが1918年の作曲なので、作曲されたのとほぼ同時代のピアノと言えそうです。 (もっとも、プーランク自身は、同じフランスのプレイエル社製のピアノを愛用していたそうですが)。

音が大きくて音色の華美な今日のピアノと比べると、強弱の差があまり大きくなく、また非常に繊細な音色の楽器です。 フォルティッシモで不協和音ががんがん鳴り響くこの曲も、このピアノで弾いてみると、また印象が変わって、この曲の洒脱な洗練された楽しさがより一層強く感じられました。

別にこの楽器だけが特別に古いわけではなく、こちらでは1930年代くらいのピアノはピアノ屋さんで普通に見かけます。 現代のピアノを聞き慣れたり弾き慣れたりしている人にとっては、ダイナミックレンジの狭さや、アクションの性能に不満を感じないわけではありませんし、この楽器も弦をとめるピンが一部ゆるくなっていて、ちゃんと調律することができない楽器なのですが、それでもこういう古い楽器を実際に自分の手で弾いて当時の音を感じることができるのは本当に幸せなことです。

ゆうなはこの曲はこの楽器で聴くほうが気に入ったみたいで、もともとこの曲を愛してやまない子供Hはさらに目がきらきらして聴いていたし、子供Aは寝ていましたが、何はともあれ自分の趣味を身近な人たちが楽しんでくれるのはいいことですね。


トップ «前の日記(2012-02-22) 最新