こちらに来るまでは、フランスのコンセルヴァトワールというと、プロの音楽家養成機関みたいな印象がありましたが、子供向けのクラスは、普通の学校に通いながら習いに行く「街の音楽学校(の総本山)」みたいな感じです。 コンセルヴァトワールの他にも、École de musique(音楽学校)というのが市内の各地域ごとにあって、どれも公立なので、学費も家庭の収入に応じて違いはありますが決して高くはありません(まだ正式な金額を聞いていないけど、たぶん)。
Lilleのコンセルヴァトワールの子供むけクラスは、まず初めのcycle de découverte(出会いのサイクル)で、年長からÉveil danse et musique(ダンスと音楽の目ざめ)のクラスがあって、小1からはInitiation vocale et rythmique et découverte instrumentale(歌とリズムの入門、楽器との出会い)のクラスと、Initiation collective aux instruments à cordes(絃楽器の入門)のクラスがあります。 そして、その後に本格的に楽器を学ぶ第1サイクル、第2サイクル、と進んでいきます。
当初は、ヴァイオリンも習いたいらしい子供Hは絃楽器の入門のクラスに応募するつもりだったのですが、定員が限られている上に希望者も多いので、最初のダンスと音楽の目ざめのクラスから通っていないと、なかなか入れなさそうな感じでした。 でも、子供Hのピアノの先生のMさん(彼女もLilleのコンセルヴァトワールの卒業生)が、出会いのサイクルは飛ばして第1サイクルのピアノ科の入試を受けようと提案して、まずはコンセルヴァトワールのピアノ科の先生に会いに行ってみよう、となったのが今年の5月のお話。 そこで、その頃練習していた曲を先生の前でいくつか弾いて、「じゃあ、受けてみる? 合格したら見てあげるよ」と言われて、入試の課題曲をもらってきました。
9月になって新学期に入ると、試験を受ける子供は、まず歌とリズムの授業を週2回受け、それと並行して希望する先生のレッスンを週1回受けることになりました。 試験の前日のレッスンでは、前の生徒の子がいまいち弾けていなかったけれど、先生に「先週よりはずっといいね。明日は頑張ろうね!」みたいに言われていて、やっぱり前日はそういう感じの言葉をかけるのねと思いながら、子供Hの番を迎えました。 すると、まず1回それなりに弾けたけれど、先生は「明日は間違えてもやり直せないんだから、もっと集中して弾かないとだめ」と言い、そして次にもう一度弾いたら、ちゃんと集中して弾けて、すると先生は「明日もそんな風に集中して、音楽のことだけ、ピアノのことだけ、自分がすることだけを考えて弾きなさい」と言って、私もさっきの生徒の時と全然ノリが違う!とびっくりしましたが、厳しく指導してもらえるのはありがたいことですし、子供Hもあれで気合いが入ったんじゃないかと思います。
そして、先週の水曜に入試があり、子供Hが受けるのは第1サイクルの2年目というレベルの試験で、同じレベルで9人が受験していました。 周りは子供Hよりも1、2歳くらい大きそうな子供が多かったようにも見えましたが、そもそも何人合格するかも知らなかったので、私たちも周りは気にせず、「先生が言っていたみたいに集中して音楽に向き合えたらいいね」と試験の部屋に送り出しました。
本当は明日が合格発表のはずだったのですが、今日の歌とリズムの授業に連れていったついでに掲示板を見ると、なぜかすでに結果が貼ってあって、無事に合格していました。
私が好きでピアノを弾いているのを子供が小さい時から横で聞いていて、自分も弾きたくなって習い始めたらピアノを弾くのが好きになって、その好きなことがいい環境でさらに続けられるようになって、いろんな幸運に感謝しています。