オープンソースについて分かったふりをして出鱈目なことを語る人がいます。
「目からうろこが何枚も落ちたオープンソースの“人間的本質”」という記事の中で、こんな記述があります。
オープンソースとは、ソフトウェアのソースコード(人が記述したプログラムそのもの)をネット上に無償公開し、世界中の不特定多数の開発者が自由に参加できる環境を用意し、そのソフトウェアをさらに開発していく方式のことだ。
おくじさんも指摘しているように、これは本当に大間違い。 どれくらい大間違いかは、オープンソースの定義を読めばすぐに分かります。
この記事の著者、梅田望夫さんは、「もうかれこれ十年近くにわたり」オープンソースを取り上げてきたそうですが、そんな彼が、彼曰く「日本人でたった一人だけ、世界中の人々が使うソフトウェアをオープンソース方式で開発したリーダー」である(←これも大間違い)まつもとゆきひろさんと「深く語り合う機会を得た」のですから、オープンソースについて十分に理解する時間も機会も十分にあったはずです。 にもかかわらず、こんな大間違いな記事を書くとは、まつもとさんにとって何と壮大な時間の無駄遣いでしょう。
かつて私が「いわゆる商用ソフトウェア」の後半で「オープンソース的と言ったりするのは、オープンソースのことをわかっていないか、もしくはよりたちの悪いことに、わかっているけど自分にとって都合が悪い部分は触れたくないのであえてそういう表現でぼかしているかのどちらかなので、要注意です」と書いたのも、その梅田さんとまつもとさんとの対談での梅田さんの発言(P.9〜P.11)についてのことですが、まつもとさんと語り合ったと称しながら、オープンソースについて間違ったことを喧伝されるのは、真剣にオープンソースに取り組んでいる人たちにとって本当に迷惑なことです。
もし、またいつか梅田さんがオープンソースについて書く機会があるのであれば、正しい理解のもとに人を正しい理解に導ける記事になることを、強く望みます。
上の記事について、hyukiさんからコメントをいただきました。
「大間違い」なポイントを書いていただけると、多くの人の助けになると感じました。きっと同じように誤解している人が多いでしょうから。
前回の記事で特に詳しく書かなかったのは、リンクを紹介したおくじさんの日記に十分書いてあると思ったのと、一度はオープンソースの定義を読んで自分で考えてくださったら嬉しいという思いがあったからです。 とは言え、hyukiさんのおっしゃることももっともだと思いますので、私の考えも記しておきます。
オープンソースとは、ソフトウェアのソースコード(人が記述したプログラムそのもの)をネット上に無償公開し、世界中の不特定多数の開発者が自由に参加できる環境を用意し、そのソフトウェアをさらに開発していく方式のことだ。
(梅田望夫さん「目からうろこが何枚も落ちたオープンソースの“人間的本質”」より)
これのどこが大間違いであるか、それは、「オープンソースとは...」と書いておきながら、オープンソースと関係のないことばかり書いていて、オープンソースは何であるか、つまりオープンソースは何をもたらすかを何ひとつ書いていないからです。
まず「ソースコードを無償公開する」と書いていますが、ソフトウェアやソースコードの取り扱いについて定められているのは、(有償でも無償でも)再配布に制限のないことと、ソースコードが含まれているか入手できることであって、「無償公開すること」ではありません。 そもそも「利用者による再配布」と「作者による公開」はまったく別のものです。
その後の記述も、「...環境を用意し」とか「...開発していく」のように、「作者や開発者が〜するものがオープンソース」のように書いていますが、そうではなくて「ソフトウェアが〜であるものがオープンソース」です。 つまり、ソフトウェアが〜であるから、利用者に〜をもたらす、これがオープンソースであり、これを実現し保証するのがオープンソースのライセンスです。
最後に、ではオープンソースは何をもたらすのか。 それはやはり、短く言ってしまえば「自由」です。 オープンソースが、フリーソフトウェアを普及させるために生まれた言葉であることからも明らかなように、オープンソースがもたらすものは、自由という価値を抜きにしては語れないと私は思います。
「大間違い」なポイントを書いていただけると、多くの人の助けになると感じました。きっと同じように誤解している人が多いでしょうから。 <br>
> hyukiさん <br>というわけで、書いてみました。 > http://kazuhiko.tdiary.net/20080317.html#p02
かずひこさん、ありがとうございます! <br>やっぱり書いていただいてよかったです。というのは、 <br>かずひこさんは上で二つのポイント(1)「有償無償vs再配布」(2)「作者開発者がvsソフトウェアが」に触れておられますが、結城自身(1)はすぐ気づいたのですが(2)には気づかなかったからです。 <br>
ごぶさたです。岡山に引越しました。日本に帰ってきたら遊びに来てください :) <br> <br>ところで、この記事私も読んで「.....」となったのですが面倒なのでツッコミ入れてませんでした。 <br># 最近Python他にツッコミいれるのが忙しくて(嘘 <br> <br>