二日目のレポートです。
「オブジェクト脳のつくり方」の著者の牛尾剛さんと、「オブジェクト指向でなぜつくるのか」の著者の平澤章さんのお二人によるディベート・セッション。
自称要領派の牛尾さんについては、「オブ脳」本を持っているので何となく考え方は知っていて、その牛尾さんの教え方を垣間見ることができて楽しかったのですが、平澤さんの方法もとても説得力があり、両方を同時に見ることができるのは幸せだなぁと思いました。
牛尾さんの話で印象的だったのは、「概念を解説している時はコンピュータに置き換えて考えるのは禁止」「よくわからない時は必ず手を動かして体験して知識化する」「わかったと思っても必ず手を動かして知識化する」「正確なものよりもわかりやすいものを重視」などで、あと「人のタイプにより教え方を変える」ことの大切さを語っていました。 ちなみに、私が「オブ脳」本で真っ先に読んだのがその「人のタイプ別教え方」のところです。
平澤さんの話で印象的だったのは、「カプセル化のミソはインスタンス変数」「継承は実装の共通化で、ポリモルフィズムは呼び出しの共通化」「オブジェクト指向はソフトウェア開発の総合技術」などで、私にとってはわかりやすい説明法だと感じました。
最後は、ベテランは「Java や C# でプログラミングしてみよう」、若者は「コンピュータの仕組みや開発技術の歴史を学ぼう」とまとめて、両者握手して終了しました。
セッション後、牛尾さんに挨拶をしにいって Ruby について聞いてみると、最近ウサギ本で Ruby を勉強中だそうです。 ついでに、「もし新人研修などでオブジェクト指向も言語も最初から教えるのなら、Java よりも Ruby の方を使った方がコードが短くてよりオブジェクト指向についてストレートに理解できるんじゃないでしょうか」とプッシュしてきました。:)
「アジャイルモデリング」の著者の Scott W. Ambler さんによるセッション。
従来の Rational Unified Process (RUP) がシステムの開発プロセスの方法論であったのに対して、システムの運用や廃止、さらには企業の運営についてのライフサイクルまでを対象にしたものが Enterprise Unified Process (EUP) で、Fortune 500 の企業や政府機関などにおいて RUP だけでは足りないということで生まれたというお話。 EUP で拡張された部分 (つまり RUP にはなかった部分) について、それぞれ紹介されました。
まとめとして、「RUP はシステム開発のライフサイクルにおいてよいシステムである」「成功する組織はソフトウェア開発より上を見ている」「EUP は RUP を全 IT ライフサイクルに拡張したもの」「EUP が成功するにはあらかじめ RUP が成功していることが必要」「ツールの限界がプロセスを制限してはいけない」というお話でした。
私がこのあたりの知識をあまり持ち合わせていないので、あまりつっこんだ感想はないのですが、自分自身の日々の活動も会社の EUP の中の一つだと意識しながら、まわりとの連係や協調について考えてみたいと思います。
今日はまつもとさんだけでなく、角谷さん、kdmsnr さん、えがぴーさん、dot さん、manhole さん、ハナアルキさん、skimura さんとご一緒しました。 けっこうみなさん Hiki を使っているという話を聞いて、嬉しかったのでした。
はてなの近藤さんによるセッション。近藤さん自身による感想もどうぞ。
削除するかどうかの事例とプロセスの紹介や、改善までのプロセスの紹介など、ユーザとのつきあいについての話題が中心でした。
削除については、事例の公開が送れると先に日記で晒されたりするので、ユーザに返事をする前にまず決定した方針を事例として先に公開するそうです。 改善までのプロセスは、βテスト期 (ユーザ数 300 人くらいまで) は採用すべきアイデアは即日実装、即日反映が当り前で、その後規模が大きくなるにつれてすこしずつ遅くなってきたが、できるだけ早く方針の決定はするという話で、最近は熱心なユーザによる「要望まとめページ」ができたそうです。 このあたりの話は、私自身の tDiary.Net や fdiary.net wikifarm の運営においても似ている点が多く、とても参考になりました。
社内業務の効率化についてのお話では、blog を徹底活用して、業務報告や ToDo、質問、ニュースクリップなどは各自がどんどん更新して、他のメンバーへの業務依頼はトラックバックで行うとのこと。 そして、お互いに他のメンバーの blog をチェックすることで、業務の把握をしたり、役員の考えを日々知ることができたりすると話していました。 ちなみに、このあたりはうちの社内でのやりかたとけっこう似ています。
あと面白かったのが「あしか」と呼ばれる開発システム (?) で、これは
おわった | ペンディング |
すぐやる | いつかやる |
という四つに区切られた段ボール箱に、タスクカードみたいなメモを入れてあるだけのもので、「おわった」に移していくのが快感だそうです。
最後に、「生活の豊かさはデスクとベッドの間にある」というお話で終りました。
近藤さんのプレゼンを拝見するのは、去年の Lightweight Language Weekend に続いて二度目ですが、今回も内容たっぷりの面白いプレゼンでした。
「リーンソフトウエア開発」を翻訳した平鍋健児さんによるセッション。以前に角谷さんのところで「見える化ネタ」を拝見して以来このテーマに興味を持っていたのですが、期待以上に楽しく有意義なセッションでした。
「見える化」手法の実例として、
などを紹介していました。
他に、現在試行中のツールとして、マインドマップ (偏愛マップ)、KY (危険予知) ミーティング、SKMS (Structured Knowledge Management System) を挙げていました。
見える化の目的は「ソフトウェア開発を成功させるために」かつ「エンジニアとしてよりよい人生の時間をすごすために」というお話が印象に残りました。
とにかく、すぐにでも実践してみたいアイデアがてんこ盛りなのですが、最近の私は一人で企画開発のお仕事なんですよねぇ。
1630 からのセッションは、最後まで参加すると飛行機に遅れそうなのでパスして、'Ask the speaker' のコーナーで発表を終えたばかりの arton さんを囲んで交流タイムにしました。
ここで、ついに Ruby 界の助さん (助田さん) とお話しすることができました。 角さん (角谷さん) もいたことだし、あとはこうもんさまがいれば完璧だったのに残念。 ぜひともアウェイな会場で「Java なんて○○○!」と叫んでプラチナスポンサーの 3/4 を敵に回してほしかったなぁ。
とにかく勉強になることがたくさんありました。 特に、オブジェクト系やアジャイル系の世界は、私からみて全然アウェイな世界じゃないので、これからはもっと積極的にそっちの世界も足を踏み入れてみようと思いました。
今回は自腹での参加だったので財布にはちょっと痛かったのですが、せっかく行ったからには学んだことや感じたことを職場のみなさんとこれからまったりシェアしていこうと思います。
麗しき誤解だよねぇ > ドリーム<br>でも世間的なドリームチームじゃないが故に、私はドリームなチームだと思ってるよ。
フォントのほうと時間の調整大丈夫でしょうか。<br>そろそろ内容も考えましょう >OSC2005.
当日は合計四つのセッションに参加しますが、時間調整は大丈夫なはずです。