昨日の寺子屋の見学で、小学校4年の女の子の朗読を聞いていて、彼女の日本語の発音で少し気になったことがありました。 一つは、母音がときどき抜けているように聞こえることで、例えば「新美南吉作」が、むりやりローマ字っぽく書くと"Niiminankchi sak"みたいな感じに聞こえました。 もう一つは、サ行の文字、特に「し」の発音が"si"ではなく"shi"(つまり発音記号で書けば"s"ではなく"ʃ")みたいに聞こえました。
彼女は、たしか日本にいた期間はわずかで、他は英語が母国語の国か、フランス語が母国語の国にいたので、前者については、フランス語にひきずられても、英語にひきずられても、こういう感じになるのは何となくわかる気がします。 でも後者は、フランス語にも"si"の音があるので、なぜそうなるのかちょっとわかりません。
彼女の両親はともに日本人なので、彼女は家の中では生まれてからずっと「ネイティブの日本語」を聞いて育っているはずなのですが、それでも住んでいる国の言葉の影響はこれくらいは出るものなのか、と驚きました。 そして同時に、日本の国外でこのような日本語を交わしあうコミュニティがある意義がより深く理解できました。
さてうちはどうかというと、まだ子供は3歳になったばかりですが、日本語もフランス語もどっちもまだまだいい加減な発音で、フランスにいるからどうだというのは正直よくわかりません。 ただ、フランス語の"r"の発音は、ものすごく上手に発音していて、"l"の発音とごっちゃになったりはしていません。
子供にとって日本語とフランス語のどっちが大事かというのは難しい問いですが、せっかく現地の幼稚園に通っているので、その時間が彼にとってより有意義な時間になるためにも、今はフランス語がとても大切だと思っています。 なので、「フランス語は幼稚園だけ」ではなく、家でもフランス語の絵本を読んだりして少しでも彼のフランス語が向上するように心がけているのですが、一方で彼が日本人として美しい日本語を話せるようになるための努力も地道につづけていこうと思います。