2009-11-23 [長年日記]

_ Movie 畏れ慄いて / Stupeur et tremblements

この映画の原作の著者は、ベルギーの外交官の娘として日本で産まれて5歳まで日本で育ち、その後各国に移り住んで、23歳のときに再び日本に来て、住友商事で1年間働いた、アメリー・ノトンさんで、その時の就業経験を元にして書いた自伝的小説がこの「畏れ慄いて」です。

ガイジンとして働く主人公の女性が、日本の大企業のさまざまな不条理に翻弄されまくるストーリーで、日本ではある意味当然ですが批判されて、映画も日本では一般公開されなかったそうです。 でもフランスでは普通にDVDが売っていたので、買ってきて家で観てみました。

主役のアメリー役は、シルヴィー・テステューさんです。 2008年の映画「サガン-悲しみよ こんにちは-」のサガン役で初めて彼女の演技を見て以来、私が愛してやまないフランスの女優の一人です。 2007年の映画「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」のモモーヌ(ピアフの貧乏友達)役でも主役に負けない存在感が光っていました。

映画に出てくるエピソードは、お客さんに日本語でコーヒーを勧めたら「ガイジン=日本語わからない」と思って気兼ねなく内密の話をしていたお客さんが気を悪くしたので今後は一切お客さんの前で日本語話すなとか、仕事で成功しそうになったらそれまで親切だった女性の上司が急に足を引っ張りだしたとか、コピーを頼まれて少しでも中心がずれていたら全部捨ててやり直しとか。

まあ日本で一般公開されなかったのもさもありなん、という感じですが、大企業だったら多少はそういうのはあるかもね、と軽く笑って見るのがいいんじゃないかと思います。

で、この映画は「日本の」大企業をネタにしたお話なので、こんな無茶苦茶は「日本」企業に特有っぽく思うかもしれませんが、外資系の大企業はそれはそれでちょっと違ったタイプの無茶苦茶があったりもするので、お互い様というか、それぞれ自分にあった環境に出会えればいいですね、ということで。

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