毎年6月に行われているLille Piano Féstival、今年は三つのコンサートに行きました。今年のテーマは、生誕100年のジョン・ケージと、生誕150年のクロード・ドビュッシーです。
曲目は、フランシス・プーランクのピアノと18楽器のための舞踏協奏曲「オーバード」と、マリー・ジャエルのピアノ協奏曲第2番。
演奏は、ORCHESTRE NATIONAL DE LILLEのメンバー、指揮はJOSEPH SWENSEN、ピアノがEMMANUEL STROSSER(プーランク)とDAVID VIOLI(ジャエル)。
プーランクの「オーバード」は、「ある人に敬意を表するため家の戸口や窓下で夜明けまたは午前中に行う演奏、そのための曲」という語だそうですが、朝っぱらからこれはややきつい気もしますが、プーランクらしい洒脱な曲で気に入りました。
マリー・ジャエルは初めて耳にした名前で、フランスのピアニスト・作曲家だそうですが、この曲はちょっと微妙でした。 ピチカートで始まった後は、ユニゾンとトレモロが十数分ほどやたら出現し、終盤に突然「あれ? 金管いたの?」という感じで派手に盛り上がって終了。 活き活きとしたピアノを聞かせる若いピアニストの演奏だっただけに、ちょっと消化不良な感じでした。 アンコールでソロで弾いた曲は素敵な曲で演奏もよかったのだけれど、あれもジャエルの曲なのかしら?
「ババールとその他の物語」と題した、ピアニストであり作家でありコメディアンでもあるという多彩な兄ちゃん DAMIEN LUCE のコンサート。
初めはドビュッシーの曲集「子供の領分」からいくつか、つづいてジャック・イベールの曲集「物語」からいくつか、最後にプーランクの「朗読とピアノのセット」の「ババールの冒険」。
このコンサートは、子供Hと子供Aともう一人ピアノ少女Kちゃんを連れて行ってきました。みんな、プーランクの「ババールの冒険」が一番楽しかったそうで、先代の王様が変なキノコを食べて死んじゃったシーンが怖かったらしい。 私も十分楽しかったし、いつか自分でも弾いてみたいかも。
今回一番楽しみにしていた、パスカル・ロジェとアミ・ロジェのピアノ・デュオのコンサート。アミ・ロジェってどなた? と思ったらパスカル・ロジェの妻で日本人のピアニストだそうです。
曲目はすべてドビュッシーで、「白と黒(2台4手)」「小組曲(連弾)」「リンダラハ(2台4手)」「海(2台4手)」。
どの曲も素晴らしい演奏でしたが、特に小組曲が素晴らしく、もともと知っていた曲ではありましたが、「この曲ってこんなにいい曲だったんだ!」と思いました。
最後の「海」の終盤で、突然空調がいかれて「バババババ...」とひどいノイズを立てるというトラブルがありましたが、もちろんお二人は何事もなかったかのようにひたすら弾き続けていたので、こちらも集中して聞けました。
そういえば、パスカル・ロジェの方が背が高いのに、椅子の高さがより高かったのが印象に残りました。連弾の際に彼が高音パート担当で左肘を上げることがよくあったので、それに都合がよかったとは思いますが、2台4手の時も高さは変えていなかったので、もともと高めの椅子で弾く人なのかな。
なにはともあれ、久しぶりのコンサートを存分に楽しみました。 またいろいろ行きたいな。