[追記] せっかちな人のためのまとめ。
梅田望夫さんについては、以前にも「いわゆる商用ソフトウェア」や「間違いだらけのオープンソース記事」で、オープンソースとバザール・モデルを混同していると指摘しましたが、いまだにしつこくその誤解を持ったままのみならず、オープンソースの価値を不当に貶めているのに閉口しています。
事の発端は、彼が自分の著作を「何語に翻訳してウェブにアップすることも自由」としたことです。 この試みについて、彼は「オープンソース的協力が成立する要件についての実験と考察」と題して、
「ウェブ進化論」以降の一連の著作の中で、オープンソース現象や、オープンソース的協力の可能性について論じてきた。そして、同時代的に実験が続いていてまだ解がはっきりわかっていない「オープンソース的協力の成立要件」について、これまでずっと考え続けてきた。そしてその大切な要件のいくつかを満たす条件が整うチャンスがあれば、自分でも挑戦してみようと思っていた。
と書いています。 オープンソース「現象」とか、オープンソース「的」協力とかいう曖昧な表現をしていることからも、オープンソースそのものを理解できていないのは透けて見えますが、ここで彼が言っているのはもっぱら、(無報酬の)「バザール・モデル」の話であって、オープンソースの何たるかには、まったく関係がありません。
そして、「オープンソース的協力の成立要件」の一つとして、こんなことを書いています。
この本は、営利目的で翻訳をして出版しようと言ってくる海外の出版社は絶対に存在しない、ということである。そんなことはちょっと考えればわかる。だから出版社だって「どうぞどうぞ御自由に」ということになる。だから必然的に、他の方法とのコンフリクトがない。
つまり、(自分の)ビジネスの邪魔にならないのなら、オープンソース「的」にどうぞ、と言っているわけですが、実際には、積極的なビジネスの手法としてオープンソースを選択し、そして成功しているケースはたくさんあります。 彼が、オープンソースとビジネスについて、本当に何も知らないのか、意図的に無いことにしたいのかわかりませんが、オープンソースのビジネスにおける可能性を低めるのは、たとえ無知が原因であっても許されるものではありません。
そして、有志による翻訳の成果について、こんなアメリカ人の友人のコメントを紹介しています。
someone who has paid for a translated copy of the book might not. Given that this is an ‘open-source’ effort, I think it is VERY good.
金を出して買う翻訳テキストなら質に問題がある。でもオープンソース・プロジェクトだということを考えれば「VERY good」だとのことでした。
ここで彼は、友人のコメントという形をとりながら、暗に「オープンソースは無料だがその分質が低い」と不当にその価値を貶めようとしています。 彼が取締役をやっている「株式会社はてな」でも、オープンソース・ソフトウェアを広く使っている一方で、こんなことを平気で書く神経が信じられません。
そもそも、本当にオープンソースについて真摯に考えてきたのであれば、よっぽど鈍感な人でないかぎり、オープンソース、そしてソフトウェアの自由が成立するために、その定義やそれを実現させるライセンスに対して、人々がどれだけ苦労したかについて少なからず何か感じるはずであって、そうであれば、
本書の全部または一部を、英語はもちろん中国語でも韓国語でもスペイン語でもフランス語でも、どなたが何語に翻訳してウェブにアップすることも自由、とします(許諾の連絡も不要です)。
などといういい加減なライセンスにするわけがありません。
梅田望夫さんは、もういい加減、オープンソースについて何か発言するのはやめてほしい。そして、周りも彼がオープンソースについて語るのを期待するのはもう勘弁してください。
そろそろオレからも一言。 日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (1/3) - ITmedia News Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編) (1/3) - ITmedia News 21世紀に見聞きした中で、最も残念なインタビュー。
はじめまして。 <br>ライセンスの件ですが、今回は梅田さんがプロジェクトを実験的に始められたというのと、なんとしても将棋を広めたいという思いで、障壁を下げるために簡易なものにした というところもあったのではないでしょうか。梅田さんの文章を読んでいて、そのように感じました。 <br>梅田さんなら、クリエイティブコモンズのようなライセンスの形があるのを知らないわけはないと思いますし、意図的に簡単なものにしたと考えるのが自然ではないでしょうか。 <br> <br>いきなり失礼な意見を申し上げてすみません。
>hikipuroさん <br>だとしたら、オープンソースという言葉は使うべきではないって趣旨じゃないでしょうか。
「こっちを読んで、怒っている理由が納得いった。」という方もいらっしゃるようなのでリンク <br>http://enbug.tdiary.net/20080315.html#p02 <br> <br>正直書き方が悪いというか今北産業な人には何でここまで怒ってるのかわかりにくいエントリだと思う。
はてブからきますたさんが紹介してくださった分も含めて、ブログ主さんの過去の記事を読ませていただきました。 <br>さるすたさんのおっしゃるとおり、僕がとんちんかんな発言をしていたことが分かりました。 <br>すみません。 <br> <br>確かに梅田さんは、 <br> <br>・オープンソースを生業としている人に対して失礼な態度をとっている <br>(今回の本の翻訳プロジェクトの始め方が、投げやりとも見えることから) <br>・オープンソースの定義を十分に理解しているとは言えない <br>(ライセンスの選択も無しに、これはオープンソース的だと言ってしまっている) <br> <br>というような部分があると思います。 <br>梅田さんはWeb進化論のような、発行部数上、ソフトウェアに携わって居ない人にも影響力がありそうな本を出されている方ですから、もう少し慎重に行動された方が良いかもしれませんね。オープンソースについて誤解を広めかねない行動をとってらっしゃるように感じました。 <br> <br>しかし今回、梅田さんは初めてオープンソース(的な)プロジェクトの立ち上げ側についたわけですから、楽観的に考えると、この経験からさらに理解が深まって、今後はこのような誤解が膨らまないように行動されるのではないかと思います。
同意。仮に梅田さんがオープンソースモデルと言っているものならば、日本語で書かれている文章をどこかのサイトに自由にアップしてもよいことになるはず。オープンソースの基本精神は自由。そしてそこにアドセンスなど貼って商売してもオープンソースモデルとしてなら許されるはずじゃないかな。 <br>また、それは多言語で翻訳されたものでも同じはず。
ついでに、彼の文章をみんなでインスパイアして大阪弁に書き直ししたものを再販しても、オープンソースモデルなら許されるということになる。おそらく、彼はオープンソースモデルとバザールモデルを完全に混同しているね。
本を読まずに公開されている英語版から、大阪弁版を作成して公開するのなら問題ない? の? って梅田さんに聞けばいいのか? 梅田さんに正しい理解をしてもらうのには良い機会だと思うから、がんばってください。
梅田さんはプログラマじゃないですから <br>オープンソースという言葉自体使ってるのがおかしいだけです
多分、梅田氏はCC(クリエイティブ・コモンズ)あたりとごっちゃになってるんでは? <br>あと、du Open Sourceは de l'Open Sourceですね。