子供Hは、第一課程とはいえコンセルヴァトワールの学生でちゃんと学生証もあるので、実は大きい生徒たちのように練習室を借りられるのではないだろうか? と前から思っていたのですが、先日個人レッスンの先生といっしょにコンセルヴァトワールに行ったついでに受付で聞いてもらったら、学生証を提示したら借りられるとのことでした。
その話を子供Hにすると、じゃあ借りて練習したい! と言うので、今日のソルフェージュの授業の後に、早速受付に行って「ピアノのある部屋は空いていますか?」と自分で頼んできました。 すると受付のおじさんは「ピアノは一つでいいかな? 学生証を預かるね。ほい鍵だよ!」と鍵を渡してくれました。
さっそく練習室に行って鍵を開けてみると、アップライトピアノが2台、背の高いYAMAHAと、やや低いSCHIMMELがありました。やっぱりあらゆる部屋にグランドピアノというわけじゃないのね。 しばらく練習したあとで、せっかく2台あるから2台で連弾できるねと子供Hがいうので、ストラヴィンスキーのギャロップを弾きました。 連弾の時に狭くて弾きにくかった部分がすごく弾きやすい! それに、私が弾いたやや背の低いSCHIMMELもすごくいいピアノで、2台でアンサンブルしてとても気持ちがよかった。 練習後、鍵を返しにいって、受付のおじさんに「僕、たくさん練習したよ!」と言うと、「いいね! ここは練習するための場所だからね!」と言われました。
その後二人で近くのサンドイッチ屋でお昼ごはんを食べて、図書館に行って本を読んでいたら、また練習する! というのでコンセルヴァトワールの受付に戻ると、また先程のおじさんがいて、今度は「大きいピアノのある部屋をお願いします!*1」と言うと、「そうか、じゃあ一番いい部屋にしてあげよう!」と言って鍵を渡してくれました。 鍵に書いてある部屋番号を見てみると、なんといつも先生とレッスンしている部屋でした。 この部屋のピアノは、いつも弾き慣れているYAMAHAのC5。 私も少し弾かせてもらったけれど、癖がなくよく鳴るいい楽器でした。 練習後、鍵を返しにいって、受付のおじさんに「実は、いつも先生とレッスンしている部屋でした」と私がいうと、「うん、あれは先生の部屋だからね!」と。
つづいて、14時からと掲示がしてあった他の先生の発表会を覗きにいくと、その先生に「15時からに変更になったので、今はまだリハーサル中だけど、よかったら聴いていってよ」と言われたので、中で聴かせてもらうことにしました。 弾く生徒さんには、予想外のプレッシャーがかかることになったかもしれないけれど、まあそれも含めて本番のリハーサルということでいいよね。 こちらとしては、ついでに他の先生のレッスンの様子も見ることができて、さらに得した気分でした。 しかも、生徒のうちの一人は、先日子供Hが弾いたベートーヴェンのソナチネ Anh. 5を弾いていて、子供Hも興味津々に聴いていました。 その子は、子供Hよりたぶん2歳くらい年上で、体も大きい分弾き方もずっと安定していましたが、あの時代の曲で前打音を「前に打つ」のはやっぱり聴いていて違和感がありました。
リハーサルの合間に先生が、子供Hに「君は何ていう名前?」と聞いてきて、さらに「君もピアノを習ってるの? ここで? じゃあ、どの先生と? 君も弾きたかったら弾いてみる? 何か弾ける曲はある?」とかまさかの道場破りのような展開になって、私が「いえいえいえいえ」と遠慮しつつ、子供Hに「もし弾くことになっても、絶対あのベートーヴェンは弾かないでね」と念をおしていたら、子供Hもさすがに抵抗があったようで、「僕弾かない。でもまた練習しに行きたい」というので、キリのいいところで丁重にお礼を行って出てきました。
そんなわけで、今日三度目の練習室を借りに行くと、先程とはちがうおじさんで、もらった鍵の練習室に行ってみると、SCHIMMELの背の高いアップライトが一台ある部屋でした。 子供Hは、「僕、大きいピアノの部屋って言ったのに。。。」とやや不服そうでしたが、いざ弾いてみるとそのピアノが気に入ったみたいです。 私も少し弾かせてもらったけれど確かにいい楽器で、以前に別の先生の部屋で弾いた時のSCHIMMELのグランドピアノもいい楽器だったし、私の中のSCHIMMELの印象は絶賛上昇中です。
そんなわけで、コンセルヴァトワールの練習室を借りるというのが子供Hはすごく気に入ったようです。 家にいると他にもいろんな誘惑があって、なかなか練習を始めなかったり、すぐに他のことをしたくなったりしますが、コンセルヴァトワールだとそういうことはないので、いつもより集中していい練習ができたように思います。 でも、「僕、バカンス中の土日は全部コンセルヴァトワールに来て練習するね!」と言うのはちょっと極端じゃないかと。。。
*1 フランス語ではグランドピアノはpiano à queue(しっぽのついたピアノ)と言いますが、子供Hはそれを知っている上でgrand piano(大きいピアノ)という言い方をしたみたい。