2012-10-26 [長年日記]

_ [Music] バルトークのこと / À propos de Bartok

私がバルトークという作曲家を知ったのはいつのことだったか、あまり覚えていないのだけれど、大学のときに室内楽のサークルで、学年が一つ下の後輩のS君がバルトーク好きで、バルトークの書いた練習曲集のミクロコスモスの1巻を丁寧に練習していたのは覚えています。 彼の家に遊びにいってバルトークの曲をいろいろ聞かせてもらったはずなのだけれど、でもどんな曲を聞いたとか、あの曲はすごく印象に残ったとか、残念ながらそういうのがまったくない。 当時の私は、主にドイツ系の古典派からロマン派の音楽が好きで、モーツァルトとかベートーヴェンとかシューベルトとかばっかり聴いていて、バルトークの音楽にあまり馴染めなかったのでしょう。

それから20年近くも経って、子供Hがピアノに興味を持って習いはじめて、大体一人で楽譜が読めるようになったころ、ピアニストのMisaoさんの家に遊びに行ったらミクロコスモスの楽譜があって、ひょっとしたら子供Hが興味を持つかもしれないと思い、初めの1巻を借りてきました。 すると、自分で弾けそうな最初の方の曲を楽しそうに弾きだして、せっかくなので私も1巻の後ろの方の曲をあれこれ弾くと、すごく興味を持って聴いてくれました。 きっと、自分もこれから上達していったらこういう曲が弾けるんだ!とイメージできたのだと思います。 その後、ピアノのレッスンでもミクロコスモスを使ってもらって、発表会のたびにいつもミクロコスモスを弾いていたので、よほど気に入っているようです。

ミクロコスモスの良いところは、いろいろな指の動きを練習できるだけでなく、いろいろな種類の音楽に触れることができるところです。 早くも1巻の途中からポリフォニックな曲がでてきますし、調性も長調、短調だけでなくフリギア旋法、ドリア旋法、ミクソリディア旋法といった教会旋法も出てきたり、民謡を元にした曲があったり、けっしていわゆる現代音楽的な曲ばかりでなく、たとえ技術的に簡単な曲であっても、横で聴いている人も楽しめます(人によるかも)。

こうして、改めてミクロコスモスの良さを実感できたので、バルトークの書いたもう一つの教育用の曲集「子供のために」の楽譜も買ってみました。 こちらはさらに民謡色の強い曲集で、一度聴いたらつい口ずさんでしまう曲がたくさん入っています。 「子供のために」というタイトルではあるけれどまだ子供Hには難しいだろうと、元々は自分で弾くために去年に買ってきて、前から10曲くらいを弾いていたのですが、いつの間にか子供Hもレッスンでも弾くようになり、さらには私がまだ手をつけていない曲を弾くことになったので、私も負けずに弾くことにしました。

もしバルトークのこれらの作品がなかったら、子供Hにとっての音楽の世界はきっと随分違った世界になっていただろうと思うと、バルトークが教育に熱心だったおかげでこれらの作品を残してくれたことに本当に感謝しています。


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