2014-01-01 [長年日記]

_ 2013年の振り返りと2014年の抱負 / La rétrospective de l'année 2013 et l'ambition pour 2014

日本の友人がすでに新年を迎えた頃、私はフランスでまだ第九を聴きながら年越し蕎麦を食べていて、何とも言えない「取り残された感」を味わっていました。

フランスでは年末に去る年を振り返ったり年始に来る年の抱負を考えたりする習慣はあまりないそうですが、私はこの時期はそういうことをしたい気分になって、そんな時に「日本人だなあ」と意識させられます。

私にとっての2013年を振り返ると、一番大きな出来事は夏に日本に帰国中に父を亡くしたことですが、その次に大きな出来事は、コンセルヴァトワールで学ぶチェリストと知り合って合奏するようになったことです。

バーンスタイン 最後のメッセージ [DVD]

今日、久しぶりに指揮者のレナード・バーンスタインとPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティヴァル)オーケストラのドキュメントのDVDを見て、バーンスタインによる短くも感動的なスピーチを聞きました(http://www.youtube.com/watch?v=B3eifkMA5qA#t=0m43sで日本語字幕付きで聞くことができます)。 「残された時間で自分は何をするべきか?」という自らの問いに対して、バーンスタインは「教育に捧げ、できるかぎりのものを若い世代と分かち合いたい」と答えます。

私自身について言えば、ただの一人の音楽好きが、一体何のために自分はピアノを弾くのか、というのはいつも心の片隅にある疑問です。 実際、そのチェリストの学生との合奏は、私にとって大いに刺戟的で学ぶところがたくさんあるのですが、一方で、その経験、その時間は私のためのものではなく、彼女にとって有益なものでなければいけないと常に意識しています。

ずっとピアノが好きな子供Hと、去年からピアノを始めた子供Aに対しても同じで、彼らが音楽を練習する時間や、さまざまな音楽に触れる経験がより豊かなものになるために、私にできることをこれからもしていきたいし、また、先日の自宅音楽会のように、他の子供たちにとっての音楽との出会いも、さらにいろいろと挑戦していきたい。

もちろん、私の仕事に対する情熱は今も変わらずに持ち続けています。 しかし、私個人が対外的に評価されることや目立って有名になることに対するギラギラした野望みたいなものは、ここ数年でほぼ完全に消え去りました。 以前は、子供の成長につれて自分が「父になって」そう変化したのかと思っていましたが、関心の対象が自分の子だけではないので、どうやらそうではなくて、自分にとって「年を取った」というのはそういうことなのかと感じています。

というわけで、公私を問わず「若い人たちのために自分にできることをする」ことを今年の抱負として、一年間頑張っていこうと思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。


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